東京都庭園美術館
旧朝香宮邸を見学 2010 4.9

桜が満開となった4月9日、白金台にある東京都庭園美術館に出かけてきました。
旧朝香宮邸が、期間限定で一般公開されています。
庭園美術館の入り口です。
目黒駅からの道沿いにも多くの
「アールデコの館」の看板が立っていました。

見学する前に、敷地内にある「茶酒 金田中」
で昼食を取ることにします。
ここは、大正時代に創業した料亭「金田中」の和カフェです。


注文した料理です。
僕としてはボリュームが物足りなかったけれど
高級です!って味がしました。カウンターで食べたのですが、照明もいい感じでしょ。


庭園の中を歩くとまもなく、アールデコの館(旧朝香宮邸・朝香宮鳩彦王)に着きました。
ちなみにアールデコとは装飾美術に由来していて、1910年から30年にかけて
ヨーロッパで流行した建築様式です。
幾何学的な形態の組み合わせで余計な装飾を排除し、形態は機能に従うという考えがあります。

重厚な玄関を開けると、ガラスのレリーフが現れます。
ルネ・ラリックが製作、4体の花手綱を手に女性が立体的に
表わされています。
大広間は、大理石レリーフ《戯れる子どもたち》
レオン・ブランシュ作が配置されています。

小客室です。
特に重要なお客を持て成すために
作られた部屋です。
壁は、深い森の情景が描かれ、川が流れ滝がや岩肌が
見るものに安らぎを与えています。

次室(つぎのま)です。
白磁の大きなオブジェが設置されています。
これが、フランス国立セーブル陶磁器製作所の
芸術監督であったラバンが1932年にデザイン
したもので、香水をいれ、灯す明かりで
香りが漂う仕組みになっています。
後に「香水塔」とも呼ばれました。
大客室です。
大きなドアを設けた、開放的な空間です。
鉄製のタンパン装飾と、ドアにはエッチング・ガラスのパネルが嵌め込められています。
天井からは、ルネ・ラリックのシャンデリアが2基吊り下げられています。
エッチングガラスのドアと大理石の暖炉。屋敷の暖炉は全て大理石でした。


ルネ・ラリックが描いた蝋燭台のデッサンと、実物です。ラリックのデッサンが残っているのは珍しいそうです。


大食堂です。
隣の大客室から、エッチングガラスの装飾をしたドアを開き入ります。
大きく張り出した出窓から光が注ぎこみます。
天井にはラリックが製作した果実をモチーフにした照明器具手前はパイナップルです。
マントルピースと壁画 アンリ・ラバン作
大食堂の出窓。
南の広い庭を見ることができます。


小食堂です
喫煙室です。
すでに、分煙されていたわけです。


二階へと続く階段です。
床も壁も全て大理石でできています。手摺には幾何学的な模様のブロンズが組み込まれています。
また、特に目立つのが、照明柱。柱の下の部分には生花を飾れるように工夫がされています。


階段を登ると、二階ホールです。
天井には丸いガラスのカバーと大きな板ガラスを用いて
デザインした照明器具が設置されています。
突然ですが、各部屋の天井には空気口が
設けられています。
全ての部屋の空気口のデザインが違います。


若宮寝室です。
隣の部屋は若宮合いの間、
その隣は若宮居間になっています。
またまた、突然ですが、いたるところに
ラジエターカバーがあります。
これらも、みんなデザインが違います。


朝香宮邸は数え切れないほどの部屋がありますが、
照明器具も全てその部屋に合ったデザインのものとなっています。
一部ですが、これまでに、写っていなかった部屋の照明です。


殿下書斎です。
八角形になるように設計されています。
机、椅子もラバンのデザインで、机は回転してどの方向にも向けられるようになっています。
半円形の高い天井が広がりを感じさせています。
朝香宮が皇籍を離脱した後は、吉田茂首相公邸となり、首相はここで公務をしていたそうです。


書籍です。
相当な書籍が積まれていたのでしょうね。


旧朝香宮邸は、1950年西武鉄道の所有となります。
1974年赤坂迎賓館が完成するまで、
ここを迎賓館として使用していました。
浴室です。
輸入された陶磁器製で、
壁は大理石、床はモザイクのタイルが張られています。


妃殿下(明治天皇第8皇女、允子妃殿下)寝室です。
右の写真の丸型と四角のラジエターカバーは本人が自分でデザインしたものです。


妃殿下居間です。
白塗りの壁や木材部に品格があります。
愛用していたオルゴールです。

半円形のバルコニー
5つのボールを組み合わせた照明


ベランダです。
園庭を臨む2階のベランダは、イタリア産の白黒の大理石で、市松模様が施され
ペンダント型の照明がモダンです。
このベランダから浴室や居間がつながっています。


姫宮寝室と居間です。
床は寄木細工で作られています。


ウインターガーデンです。
早い話が温室です。
しかし、現在でもそのデザインは新しさを感じさせます。


北の間の写真は天井だけです。
ブラインドでしまっていますが、天窓です。
夏の暑さをしのぐための部屋です。


旧朝香宮邸を見学し終えて、外にまわります。入り口の両脇になぜか狛犬が。


庭に廻って、写真を撮りました。
2階の中央ガラスの向こう側がベランダです。
左の丸いベランダが妃殿下のベランダです。
3階部分がウインターガーデン。


庭園を見学しました。
茶室「光華」です。朝香宮鳩彦王により1938年に建てられています。
和風と洋風の広い庭園があり桜の向こうに首都高が走っています。
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